外国人研修・技能実習「不正」企業が倍増

第3条:使用者は,労働者の国籍,信条又は社会的身分を理由として,賃金,労働時間その他の労働条件について,差別的取り扱いをしてはならない。”(労働基準法)

 2008年6月14,15日,約500人が神奈川県川崎市で「移住者労働者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)に集まりました。外国人労働者の差別的取り扱いを話し合いました。400万人と言われる団塊の世代が停年を迎え,労働人口が極端に減ろうとしています。ですから,海外に依存しなければならない中で,政府は外国人研修・技能実習という制度で受入れを認め始めました。2006年段階で,研修生約93,000人,技能実習生約41,000人に増えています。

 ところが,制度が悪用されているのです。法務省は, 外国人研修生などに対する「不正行為」が認定された機関が,昨年に499機関と過去最多になったと発表。業種別では,繊維・衣料関係が約2.7倍の170機関と最多で,機械・金属加工関係が73機関,農業関係が47機関でした。(読売2008/5/12)

 2008年9月19日にも熊本の裁判で,雇い主の不正について報告されています。しかし,脅迫,暴行で摘発されるのは,まだ「氷山の一角」にすぎません。外国人の奴隷労働の悲劇,現代版「女工哀史」が全国で横行しています。タテマエは「技能移転」ですが,実際には安価な使い捨ての労働力にすぎません。

 手当は最低賃金をはるかに下回る時給300円で,月約5万円ほどです。

 奴隷労働の実態

 雇い主は常識があり,国際交流に積極的な人格者がほとんどです。しかし,外国人研修・技能実習制度が人を変えてしまいます。「麻薬のようなもので,人を自由に支配できる制度」が悪魔のような雇い主に変貌させてしまうのです。研修生たちの休日はわずか月1,2日で,忙しい時には無給。雇い主は苛酷なノルマを与えて,怒鳴り散らし,働かせるのです。まさに現代版「女工哀史」です。

 タコ部屋のような狭い寮で幾人もの研修生たちを生活させます。外出はダメ。日本人との接触も禁じます。「逃亡防止」のため旅券(パスポート),通帳,印鑑を取り上げます。「残業や休日出勤など認められていない。していることが入管にバレてしまうと,ベトナムに送り返されるぞ!」と口止めします。平均230時間の残業は当たり前です。睡眠時間約3時間でこき使う報告もあります。雇い主に訴えると,「仕事したくないなら本国へ帰れ」「あんたが帰ってもすぐに別の人が来たがっているんだから」と。

 今,人種主義,血統主義の制度のために痛みつけられている人々のうめき,苦しみが身近にあるのです。人権に国境はありません。日本人か外国人かという日本特有の二元論的な発想を切り替えなければなりません。「外国人差別に寛容な国・社会」から,労働基準法を守る国に成長していきたいものです。

                 (神戸国際支縁機構 主幹 KBHニューズレター No.30)

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