Halo. 

       Visit, Vanuatu, Yoshio Iwamura

バヌアツ 自然災害にのたうち回る

『バヌアツ・デーリー・ポスト』紙(2015年4月26日付) 大統領と会見 神戸国際支縁機構理事長

 (社)神戸国際支縁機構は東北ボランティアだけでなく,
自然災害で苦悩する被災者に寄りそいます。

ブラックサンドの子どもたち
     2015年4月22日 バヌアツ国ポートビラ市にて撮影 Ⓒ 岩村義雄

 現地に共に行くことができるボランティアメンバーを募集
します。(2015年3月16日)

 1st  Visit    April 21-25, 2015
   2nd Visit    July 7-11, 2015
   3rd Visit     August

※第1次 4月21日出発 90万円,第2次 132万円,現地への募金
 が集まり次第,第3次 270万円,第4次 〃  ……。

※第1次 4月21日出発,第2次 7月7日,救援金が集まり次第第3次
 出発。

第2次チラシ

 現在,スターフィッシュ・ハウス建造に必要な270万円の内,
168万円しか集まっていません。

 風速90メートルのサイクロンが襲いました。重いコンテナや,
強風に強いなつめやしも根こそぎ引きちぎられました。
 南太平洋最大の自然災害です。発生後バヌアツ政府の発表で
は死者14人,損壊住宅約3万3千戸,被災者は約16万人です。総
人口24万人の多くが家を失っています。首都ポートビラでは,
90%が被害を被っています。
 神戸国際支縁機構は,外国語部門もあり,4月21日(火),7月
7日(火)に格安の航空券で代表は直接現地に入りました。
 みなさんからの募金をサイクロンによって両親をなくした孤児
たちのために,「子ども基金」として直接被災者に手渡します。
阪神・淡路大震災や,東日本大震災の場合,緊急に必要な人々が
なかなかもらえなかった教訓を痛切に体験してきているからです。

 第3次バヌアツ訪問は,8月です。同行を希望なさる方は,早
めにニュージーランド航空にご予約ください。

地図

救援金,支縁物資 ご協力をお願いします。

 

義援金は100日以上も顧みられていない。「義援金」という名称
もおかしい。「見舞金」なら遅すぎる。「救援金」という名称に
してすぐにでも支給すべきである。
牡鹿半島 聞き取り調査 (6) 」(拙稿 2011年7月)

 「義援金」donation は寄贈されたおカネです。そこで「救援
」rescue money to a person in distress と呼ぶべきです。
災害などの被害者への救援,寄附として,義援金は遅すぎて,
ふさわしくない表現と言えます。
 地元が必要なら,即断,即決,即実行しないと間に合いま
せん。
 首都ポートビラで,家,家族を失った子どもたちのために
住居を提供できるように,第2次は7月7日~11日に訪問。先
だって,南俊治建築研究所の南俊治氏が,現地のモジュール
設計を6月18日(木)午後2時から記者会見で発表しました。
 朝日新聞社,毎日新聞社,産経新聞社,神戸新聞社出席。

一般社団法人 神戸国際支縁機構
Kobe International Supporting Organization (KISO)
E-mail kiso@mbe.nifty.com
HP http://www.kisokobe.com/
Tel : (078) 782-9697  Fax: (078) 784-2939

岩村 義雄(Yoshio Iwamura)
E-mail: QYH05423@nifty.com
携帯 070-5045-7127

郵便振替     口座 00900-8-58077 加入者名 一般社団法人 神戸国際支縁機構
 もしくは
三菱東京UFJ銀行 462(三宮支店) 普通 3169863  神戸国際支縁機構 岩村義雄

募金者 および 合計金額 受領順 2015年3月16日以降

現在 1,683,682円  → 第2次バヌアツ報告に続く

 ※ 2015年3月27日の理事会は,名前だけにして,個人の金額について
   表示しないことを決議。
 ※ 救援金の寄附者は,振込用紙に記入なさっています。年金生活の中
   からわずかですが,お用いくださいとのコメントが多いです。

岩村義雄,岩村カヨ子,村上裕隆,朴 培根,本田洋子,本田寿久,
NGO国境なき災害支援隊 曺弘利,西川昭和,松下隆文,山内典子,
久原満里子,岡田文子,オオイミワ,増田久美子,浅田葉子,
神戸国際キリスト教会,姫路野里キリスト教会,ミヨシ石鹸株式会社,
(株)チュチュアンナ,吉田眞知子,村上弘志,湊乃花子,本庄芳江,
大野健明,井元親男,ウエハラユウキ,有年米子,岩下喜恵子,
新免 貢,長谷川良子,關 登美子,鄭 恵姫,白方誠彌,福井美佳,
成蹊中学1年H組,中山圭子,酒井 彰,酒井久美子,酒井利栄子,
山田 貴,北村 徹,土井和子,臼井佳代子,水垣 渉,池永タケコ,
 「小さくされた人々のための福音」講座受講生,垂水朝祷会,古川
直子,石川満澄,石川久子,山下 寛,OCCカレッジ受講生,末吉
和子,神戸国際キリスト教会,尾島淳義,栄澤紀子,カフェ・マリ
リン,本田すみ代,山下妙子,神出節子,野田和人,坂本好也,
山本智也,北村 徹,大川洋輔,福森恵美,的野慶子,伊藤良純,
KISO牧場,中山敬一郎,畑崎依子,三鷹市観音寺,阪神宗教者の
会,塩屋キリスト教会,市原嘉壽子,飯原和彦,西田明弘,楠元
留美子,三浦照子,神戸バイブル・ハウス,日本基督教団芦屋浜
キリスト教会婦人部,畠山登美子,井上千代,細見ユキ子,岩村
カヨ子,日本基督教団神戸栄光教会,第19回統一マダン神戸,
都倉久子,大槻紀夫,東灘バプテスト教会,村田充八,小野 奨,
小堀 真,金 承鎬,宗教法人アシュラムセンター,小菅あゆみ,
千葉幸一,岩泉モトエ,阪神宗教者の会,酒井 彰,酒井久美子,
日本基督教団芦屋三条教会,春重棋子,井上千代,臼井佳代子,
北山 環,藤岡牧子,本田洋子,本田寿久,加藤眞澄,有本 豊,
竹井恵美子,田中 孝,今井祝雄,森川八郎,高見真由美,井上
加代子,岩立聖子,森 瞳子,竹内喜子,有村照美,中村妙子,
山根 修,山根ほのか,大田登貴子,熊野千秋,金 厚子,宮内
民郎,羽野隆夫,辻 良雄,日向秀子,小畑俊子,佐々木 汀,
畑谷恵美子,フクニシ・アリマ,藤原加寿子,小山英一,
日向秀子,  → 第2次バヌアツ報告のページへ

 Facility for Children in Vanuatu
バヌアツ児童施設建設支援

  社団法人 神戸国際支縁機構・NGO国境なき災害支援隊 共同事業

 3月13日に,サイクロンで大きな被災を受けた南太平洋の島国バヌアツ
共和国。住宅8割以上が倒壊し特に遺児たちが暮らしていた施設が大きな
被害を受けた。社団法人神戸国際支援機構とNGO国境なき災害支援隊が
このたび連携し,7月に児童40名が暮らすことのできる木造平家建60㎡
の児童施設の建設を行う予定でした。南俊治建築研究所がモジュール設計
によって7月に着工します。

20150619バヌアツ南設計
   神戸新聞 (2015年6月19日付)。

Starfish-House design   
    スターフィッシュ・ハウス
   見積バヌアツStarfish house

 

 4月21日に第一次先見隊が首都ポートビラを視察し,建築場所の設定
などを現地当局と行い,7月に第一期着工を目指す。

 すっかり倒壊したブラックサンドや,プリマ地区から下記の支援物資
リストをピーター・イサク牧師から懇願されています。提供者には,現
地の受領証を手渡します。

 1.スポーツ関係            
  ① サッカーボール          ○ ヴィッセル神戸
  ② サッカーシューズ           〃
  ③ バレーボール           ○ 成蹊中学校 生徒による英文手紙
  ④ バレーボールシューズ         〃
  ⑤ バレーボール・コート用ネット     〃

 2.カメラ 望遠レンズ 記録用             ○ 寄贈 是枝律子さん

 3.楽器  イベント演奏用        東垂水ルーテル教会横手豊子さんからギター提供。
  ① ベースギター           中古でも,動作品ならお願いします。
  ② パワーギター           〃
  ③ Yamaha キーボード      ○ 機構から寄贈 村田充八理事の献金
  ④ 〃   ミキサー         中古でも,動作品ならお願いします。
  ⑤ シンセサイザー          〃

 以上を7月7日までに,現地へ送付いただければさいわいです。
  送付先: Rev. Peter Isac 
                  P.O.Box 2047, Port Vila,  Vanuatu
      ※ 7月7日離日の飛行機持ち込みは,30㎏の重量制限があります。
    カメラ,靴,ネットなどは神戸国際支縁機構が手荷物で搬入。

  20150607救援金 
   2015年6月7日 神戸市長田区統一マダン神戸

バヌアツ切り抜き各紙

 

バヌアツ訪問報告                    
                        15/04/26

動画

 日本からもボランティアにかけつけよう。

 ストリート・チルドレンはおらず,モノを物乞いしない子ども

 バヌアツ国サイクロンで家を失い6所帯が同居

 神戸からの鯉のぼりがバヌアツの被災地にひるがえる

 ブラックサンドの孤児たち

 ポートビラにおいてあいさつ

 

 伊丹空港出発 4月21日(火)

 出発前日,全長5メートルのこいのぼり,子どもたちの施設の模型,
凧あげの組み立て,支援物資などを含めると4つの荷物になります。
伊丹空港に村上裕隆君が送ってくれました。
 羽田から荷物が歩いているのか,人間が小さく見えたはずです。成
田からニュージーランド航空NZ53便オークランド経由でバヌアツ国
ポートビラ市に向かいます。
 午後6時半に離日し,ニュージーランドで乗り換えです。厳重なセ
キュリティチェックが入国,出国ごとにあります。ニュージーランド
には多くの日本人旅行者,留学生,移住者としています。なぜかわか
りません。一つに教育費が無料だということ,二つ目に,原発に依存
しないで自然エネルギーを活用していること,食料自給率が高く,弱
肉強食ではなく性格がおっとりしていることがあげられるでしょう。
ニュージーランドは南太平洋で放射能被害があった際,アメリカに追
随しないで真骨頂を見せた自立精神の模範の国でもあります。

 羽田から隣りに座ったのはバヌアツの船員デビッドソンです。5人
はロシア沿岸で座礁した生き残りでした。親しくなりました。膚の色
はメラネシアのメラニン色素,メラノーマ[悪性黒色腫]の「メラ」か
らひらめくように黒いです。髪の毛は直毛が少なく,縮れています。
目は大きく,心の窓である瞳が輝いています。例外なく人なつっこく,
底抜けに明るく,素朴で正直です。
 言葉は英語ができれば不自由することはありません。現地はピジン
・イングリッシュと言われるビスラマ語です。「ピアノ」という言葉
はありません。「黒い歯と白い歯があって,それを叩くと大きな音を
出す」というような具合に生の文化があります。

バヌアツ入国 4月22日(水)
 ニュージーランドからも6人は一体で行動しました。ニュージーラ
ンドの入管審査は厳しく,植物,食物は水際で一切持ち込ませないよ
うに徹底しています。親書を持ち物に大きく拡大したラミネートコピ
ーを貼るように曺弘利さん[NGO国境なき災害支援隊代表]から助言さ
れていたのが役立ち,すぐに通過できました。問題は現地の人と連絡
ができないことです。スマホの国際使用も役立ちません。昨年と同様,
海外ではパソコンのE-mobileが通じませんでした。

バヌアツ国ポートビラ空港
 バヌアツ国ポートビラ空港へ到着すると,バヌアツの人たちの容姿
に感激します。顔の目鼻立ちがはっきりしていること,若い女性に化
粧お化けはいません。美男,美女が多いです。ピアス,いれずみをし
ているのはオーストラリアからの若い白人旅行者とすぐにわかります。
 空港で一番安いプリペイドを購入したものの,滞在期間中,ほとん
ど使えませんでした。機内で,ニュージーランド人からバヌアツは気
温が20度を超えて暑いから覚悟するように言われました。日本では暑
さの最盛期には38度とか異常な熱帯夜があることを知っていましたか
ら,25度以下ならたいしたことがないとたかをくくっていました。
1999年,沖縄に招かれた際,那覇空港に到着するやいなや熱風が私た
ち夫婦に襲った体験は忘れることができません。最近,神戸の大衆温
泉ではサウナにおいて,「熱波」と言って,大きなうちわで一人ずつ
熱風をたたき付けるサービスがあります。すると全身の汗腺から汗が
噴き出ます。ですから,暑さにはへこたれない自信がありました。バ
ヌアツ空港は人が多く,ごったがえしているので暑く感じます。しか
し,屋内,木陰は耐えられない暑さではありません。エアコンが必要
ありません。天井にいくつかの扇風機あり,汗ばむことはありません。
ポートビラ市では気温のせいではなく,街全体が伝統的な服装をして
いないと暑苦しい空気が覆っています。近年でこそ,露出がはでなス
タイルはぜんぜん見かけませんが,昔女性は上半身に何も身につけず,
男性は生殖器だけを装身具をかぶせているほとんど裸のような生活で
した。 
 服装,仮面,よろいで自分を覆わない生活の方が理想的でしょう。
 バヌアツでは裸で歩いていてもだれもとがめ,目くじらを立てない
エトスが覆っています。人類の父祖と言われているエデンの園のアダ
ムとエバも罪を犯す前には恥ずかしくなかったのでしょう。
 6人は子どもたちが待つ故郷に帰っていきました。京都大学などの
研究者も同乗していました。プリペイドを値切っている間に,同乗者
はみないなくなりました。飛行場を出ると,サイクロンの被害で労働
者たちが道路を補修しています。飛行場から,中心街まで歩こうと思
っていました。自分の目で被害を見聞きしたかったのです。荷物をた
くさん抱えた外国人がのこのこ歩いているのを見て,「どちらへ」
「どうしたんですか」「どこから来ましたか」とすれ違うたびに尋ね
られました。道路建設の働き手に話しかけると,荷物を積んで安く行
ける乗り物を停めて,乗るように親切にすすめてくれました。タクシ
ーだと1500~2000バツー(1バツーは1円に相当)かかります。しか
し,ドアがちゃんとしめるのに力が必要な乗り合いバンは,どこまで
も150バツー(150円)です。行き先が同じ方向であればどこへでも
連れて行ってくれます。非常に便利な安価な交通手段です。「サイク
ロンで壊れた教会に連れて行ってください」と尋ねると,途中にいく
つかの教会があるものの,長老教会でおろされました。牧師たちは年
に3回の研修会の開催中です。大会開催中のため,被災地,親のいな
い子どもたち,失業者ばかりの地域に連れて行ってもらえそうにあり
ません。待つこと2時間,通りの反対側の草ぼうぼうの広場で高校生
たちが部活の間に休憩していたので近づきました。談笑している中に
見知らぬ異国人が割り込むわけです。おかしな見かけない外国人が尋
ねるどんな質問にも誠実に答えようとします。「将来,何になりたい
ですか」と問うと,「お嫁さんになりたい」という女子高校生はひと
りもいません。「教師になりたい」「研究者がいい」「海外に行きた
い」と明るい声ではっきりと答えます。英語とピジン語を小学校1年
生から使用していますから,英語は意思疎通する上で役立ちます。人
生観,恋愛観,宗教観も明解に応答します。日本では英語早期教育を
文科省は奨励します。しかし,国語力がなければバヌアツの高校生た
ちのように思慮深く自分の思想,考え,アイデンティティを語れない
でしょう。スマホが行き渡っていることについて意地悪い質問をして
も,自制して用いることができなければ時間泥棒と考えている見解に
はうなってしまいました。日本の大臣が黒人は知能が遅れているかの
ように物議をかもす発言をし,女性は子どもを産む道具だなどと論じ
れば,一笑に付されることでしょう。恥をさらけ出すことになります。
日本の政治家よりはるかにバヌアツの高校生の方が慎み深く,聡明で
あり,将来を考える力があるように思えました。
 皮膚の色,不便な生活,産業が発達していなくても外観からは幸福
度について判断することはできません。大家族で多くの子どもに囲ま
れながらも,固い家族愛,親に対する敬意,年長者を大切にするコミ
ュニティの方が住みやすいことは言うまでもありません。滞在期間,
人々がテレビを観ている場面は一度もありませんでした。
 そんな自然だけでなく,心も美しいバヌアツは人類の故郷のようで
す。そこをサイクロンの牙が襲ったのです。
 木造の家を完膚ないほどに暴風雨はたたきつけたのです。ブリキの
屋根を30メートルも巻き上げて高木を通り越して吹き飛ばしました。
2メートルも陥没した箇所に家の木々が突き刺さっています。

 夜になるとこおろぎが草むらで鳴いています。夜空を見上げると手
が届くような低い空に満天の星が散りばめられて輝いています。輝き
がまさに自然の宝石です。天測航海で北極星が見られない南半球では,
海洋航路する水夫たちは小さな南十字星に頼ります。神秘的な天体の
ショーに酔いしれ,釘付けになります。1個の星からなるのではなく,
4個の明るい星が十字に並んでいます。天の川に埋もれていても,明
るいので見つけられます。英語教室の生徒たちと毎年,夏期合宿をし
た際,島根県,鳥取県の満天の星がいつまでも残像になっています。
工場のスモッグがない環境だからです。しかし,バヌアツの夜空の星
は日本の田舎,種子島などで見る星とはちがいます。眺めているだけ
で,人生の労苦をすっかり忘れさせます。曲線を描きながらの曲がり
くねった天の川,夜空に雲があると目をこらすと,細かい星が集まっ
ています。南半球でしか観ることのできない星座のまばゆい輝きには
うっとりします。なぜでしょうか。湿度が少ないことが最大の理由で
す。4日間の滞在でも,上着のえりや袖口は汚れません。湿気がなく,
乾燥していることが星の光を変えます。また首都にはネオンサイン,
外灯がないこと,治安が悪くありませんから,常夜灯はニュージーラ
ンドと同じように見当たりません。星を観るだけでもバヌアツに来る
価値はあります。近くに大きな「ニセ十字」もあります。人間として
バヌアツの人々は決して大きな会社,肩書,収入がなくても輝いてい
ます。

モーセさん家族のもてなし 
 日本からよく来たとモーセさんが奥さんや子どもたちに相談して,
急遽泊めていただくことになりました。当初,予定していた別の教
会の宿泊を調整します。大学で工学を学んだ息子のジョエル(26歳)
はボーイスカウトの指導者であり,教会の日曜学校の先生をしてい
ます。将来は牧師になることがヴィジョンだと証していました。こ
の国は島々のいたるところで教会が集落の中心です。日本の江戸時
代,寺が教育,先祖の家系,共同体の中心であったのと同様です。
今回のサイクロンでも親戚,近隣の人々,共同体が悲劇にあった子
どもや,被災者にいち早く手を差し伸べたのです。
 6人家族の家に一人宿泊すると,ところてんのように一人は外で
寝ることになります。しかし,みなさんもてなしの精神が豊かで,
蚊にさされないように「かや」を吊ってくれました。蚊取り線香も
たいています。お客さん用にとって置いた貴重な蚊よけです。バヌ
アツの蚊はすばしっこい日本の蚊と異なり,鈍感です。皮膚に立ち
止まろうとしますが,すぐに刺したりはしません。追い払う余裕が
あるのです。バヌアツは約5千年にわたって,蚊も人間と共生して
きたのでしょうか。蚊は人間に打ちのめされることに無知なのでし
ょう。窓はサイクロンによって吹き飛んでいて,カーテンで蓋をし
ています。傷んだ壁などもすべてカーテンで隠しています。天井か,
屋根の上かわかりませんが,カエルが時々,鳴いています。お手洗
いの水はなんとか出ますが,洗面,歯磨き,ひげそりは穴のあいた
洗面器にためて,スピーディに使います。一滴の水も無駄にしない
つつましい生活です。お風呂は使えません。ウォッシュレットや,
ひねるとお湯が出る生活に慣れている日本人にはサバイバルみたい
です。いもり,大きいゴキブリ,小さなクモ,あり,はえがどこに
でも我が物顔に闊歩しています。家族の優しさ,奥さまのエステラ
さんは快適な睡眠のために,幾重にも重ねたマットなどの気遣いを
示してくれます。孫たち二人は家に着いた時には,深夜でもあり,
もう寝ていてあいさつはできませんでした。
 朝方は寒いので目がさめてしまいます。持っていった寝袋に入り,
休みました。

教会指導者たちの会合 4月23日(木)
 朝5時には飼っている鶏の元気な鳴き声,椋鳥の鳴き声,朝6時に
なると,遠くの広場でラクビー部の高校生たちの早朝練習の歓声が
響いてたたき起こされます。サッカーも近年盛んになっているそう
ですが,ラグビーはやはり活発です。体の一回り大きな人たちがた
くましくぶつかりあっています。同じ先祖である隣国トンガの人た
ちは大きな体格の人たちばかりです。ガリバー旅行記のモデルにな
ったそうです。
 7時になると,月曜日から金曜日まで宿泊しながら,83の島々か
らきた長老教会の指導者たちの年に3回の集会が始まります。10人
ほどの女性たちが早くから木々を集めます。ガスなどありません。
炊事をして,約50名の牧師や役員たちに日に3食備えます。ごはん
にニワトリ,豚,牛肉,種々の野菜,タロ,さつまいも,人参,ほ
うれん草などごちそうです。バヌアツの人々は食生活にはけちった
りしませんし,日に三度米食なのも助かります。ゲストハウスに分
散して宿泊しますが,朝7時から午後10時まで,昼寝もせず,食事
時間の休憩時以外はぎっしり書き込まれた議題に沿って,連続5日間,
熱心に討議がなされます。自称クリスチャンがもぐりこんだとして
も,沈黙し,睡魔に襲われたりしますから,すぐに見破られること
でしょう。トップダウンで物事を決定しない民主主義の基本が貫か
れています。質問がある人は手をあげて積極的に意見,反論,提言
をします。すべて英語です。膚の色が違うのは私ひとりです。黒人
を見下げている人がいるなら,ぜひ陪席で出席することをすすめ
ます。
 5日間にわたって,サイクロン対策を討議しています。被災した
建造物の再建,改築,予算について徹底的に模索しています。
 午前中,会合を抜けて,郵便局に行き,蝶の切手を購入しようと
しました。バヌアツに来る動機の一つは昆虫少年の温存している虫
好きと言ってもいいでしょう。鳥のように大きいトリバネアゲハが
飛んでいるのを直接見る願いもあります。「あまりにも大きく鳥と
間違えて打ち落とした」と言いますけれど,捕獲ができなかったの
で,1885年頃,英国人が散弾銃で撃ち落とし,大英博物館に所蔵
されたエピソードがあります。1975年以降,ワシントン条約で取
引が禁止されています。蝶の乱獲が絶滅種に指定される原因と考え
るのはまちがいです。むしろ蝶愛好家がいるおかげで絶滅を免れて
いることが真実です。なぜなら蝶愛好家は蝶の特有の食草を育て,
幼虫が成長するのに適した環境を作り,多数の個体を自然界に返し
ているからです。
 残念なことに,サイクロンの影響でしょうか,中央郵便局にも蝶
切手や初日カバー FDCはありませんでした。サイクロンは食べ
物にも影響を与えています。果物がないことです。マンゴ,パパイ
アなど日本では高価な果物が安く食べられる魅力も旅行者を惹きつ
ける地域なのに,サイクロンはほとんどの果実の木々をなぎ倒した
のです。
 見も知らぬ人たちともすぐに打ち解けます。まさに裸の付き合い
です。
 神戸でもお風呂で入浴している時,裸のつきあいにより,特別に
親しくなる場合があります。夫婦でよく出かける神戸市長田区の温
泉では,在日コリアンと意気投合し,私たち夫婦を高級な韓国料理
で大判振る舞いをしていただいたりしたことがあります。おかげで
ぜんぜん食べたことがなかった辛い隣国の料理が一番おいしいと家
内は言うほどになっています。
 モーセさんに携帯をお借りして,ポートビラ市役所の市長秘書に
連絡したところ,午後2時に表敬訪問するように告げられます。帰
りに,大統領官邸に立ち寄ると,金曜日午前9時に訪問するように
調整されていたことがわかります。帰路,官邸前の雑貨店の駐車場
で留めている人に道を尋ねると,忙しくて,送ってあげられないが,
場所をていねいに教えてくれました。歩き出すと,とつぜん車で追
いかけてきて,同乗するように言って,目的地へ届けてくれました。
その際,携帯番号と名前を記したメモをくれました。パプアニュー
ギニアから10年前に移住してきたイサク・ピーターという黒人の宣
教師でした。欧米や日本と異なり,外観からは聖職者だとわからな
いです。みんな民衆と同じ服装をしており,特別高級なものを身に
つけているわけではありません。大統領からまったんに至るまで背
広を着て,ネクタイをしている人にお目にかかることはありません。
 社会的に信頼度が高い職業の牧師でさえ名刺をもつ習慣はありま
せん。官公庁の人たちだけが名刺をもっています。日本では人を判
断する上で大切な名刺の肩書,どんな企業・団体に所属しているか,
学歴などはバヌアツでは役立たないことが2,3日すればわかります。
ハートが大切なのです。
 午後2時に,市庁舎に行くと,神戸から綿密に連絡していた秘書
が待ち構えており,神戸国際支縁機構の働きについて,ウルリッチ・
スムトーポートビラ市長はよく精通していました。仙台の3月14-18
日第3回国連防災世界会議に参加した市長は被災地視察した内容につ
いて感慨深げに話されました。市長から6月に再び,来て欲しいこと,
被災地の子どもたちのために共同でプロジェクトができればいいと提
案されました。予算がどれだけ集まるか不明なので,期待に応えられ
ないかもしれないことを伝えました。思いがけない市長からの提案に
帰路は足取りが重くなりました。海岸線まで徒歩で歩き,浜辺に打ち
つけられた船を見ながら,自分には何もできない無力感で打ちのめさ
れます。

ブラックサンドへの訪問
 宿舎に戻るやいなや,さきほどのイサク宣教師から携帯が入ってき
ました。欠陥商品の携帯でしたがはじめて人と対話できたのです。自
分の教会が吹き飛ばされた所へ連れて行くように調整して,午後3時
にやってきました。ブラックサンド(黒い砂)と言われる地域です。
8歳の息子ジュニア君が後部座席に乗っています。案内された地域を
見て,驚きました。楽園が地獄になっていました。
 女性が炊事のためか,たき火をしています。上半身裸の子どもたち
ばかりです。男の子か女の子かすぐには判断できません。フードバン
ク関西からのチューインガムがたくさん手許にありました。「チュー
イングガム,チョコレートをくれ」などと決してねだったりしません。
ストリート・チルドレンのように,物乞いをするのはみっともないと
貧しい子どもたちは酋長から教えられているようです。
 流出した教会の建物は完全に暴風雨によって跡形もありません。若
い指導者ジョンは,幼い時に,両親がそれぞれ浮気をして遠い島に行
ってしまい,置き去りにされた孤児として育ちました。しかし,ぐれ
なかったのは地域の人たちが自分の子どもたちと分け隔てをしないで
見守る共同体意識があったからです。兄のピーターと共に同じ運命の
子どもたちを世話する活動に従事しています。キリスト教会の指導者
として,地域の酋長たちからも信頼されています。さわやかな目をし
ていて,うわついたところがない冷静な若者です。若さを決して見下
げられない人格が伝わります。
 宿泊している場所に再び,迎えに来てもらい,神戸からこいのぼり
を持っていきました。鯉のぼりやクマリングは神戸スイミープロジェ
クト栗須哲秀代表から預かりました。ピーターが力強く,たった10分
くらいの素早さでスコップを用いて約50センチの穴を掘ります。筋肉
質で力があります。手品を見ているように瞬く間に独りで掘るのには
村の衆も頼もしく見守っています。ピーターも信頼されている若い教
会の指導者です。収穫した野菜などを「パスター」と呼んで村の衆は
持ってきます。
 雄々しく,5メートルの鯉が空を泳いでいます。約50人の神戸の子
どもたちが思いを込めてうろこに相当する絵を描き込んでいます。こ
いのぼりが天を舞うとみんな歓声をあげました。
 口には,神戸からのチューイングガムを噛みながら,神戸スイミー
プロジェクトのビニール風船を腕につけ,鯉のぼりが天空を泳ぐかど
うかはじめて見る光景に興味津々です。ジョンとピーターが竹を真っ
直ぐに立てると子どもたちは一斉に歓声をあげます。子どもは無邪気
であり,サイクロンも吹き飛ばす力があります。

パスカルとの友情
 宿舎のある高台に戻り,子どもたちと凧揚げを楽しみました。英語
で「僕は強いんだ」と書き込まれた凧をお父さんのビルさんも童心に
帰って,楽しみながら飛ばします。お父さんは失業中で,料理を作っ
たりして奥さんを手伝います。神戸の村上章夫さんの作成の見取り図
に従ってつくると,パスカル(4歳)君はすっかり気に入りました。
パスカルはそれからずっとつきまとうようになりました。壁際で会合
に耳を傾けていると,窓の外からだれかが背中を突きます。振り返っ
てもだれもいません。パスカルが午後8時だというのに,よじ登って,
茶目っ気たっぷりに私を驚かすのです。外はまっくらです。外灯,懐
中電灯もなく,いろいろな障害を踏み越えて,はだしでやってきて,
地面から1メートル半はあるのに壁にへばりついて這い上がったので
す。なかなかの運動神経です。会合は聖職者や役員しか入られないた
め,パスカルは窓からいたずらをします。見つかって,祖父から叱ら
れていました。バヌアツ人は子どもであっても,勇敢です。私が50人
ほどの大人たちと論じながら,夕食を食べ終わるやいなや,パスカル
は隠れて見張っていて,食堂に入ってきて,私が食べた重い皿などを
サッと洗い場に運ぶのです。年齢,膚の色,言葉が同じでなくても,
信頼のつながりができると相手を思いやることに躊躇しません。心の
つながりがいやします。

バヌアツの人々と暮らし 4月24日(金)
 バヌアツの人たちは実にタフであり,長時間の会合にも真剣に耳を
傾けます。忍耐力,理解力,企画力に圧倒されます。ほとんどの出席
者はデスクなしで,固い椅子に座りながら,他の人の発言内容を書き
留めています。天井には6つの扇風機がさわやかな風を流しています。
ただし,窓は全開ですから,小さな虫が入ってきます。自然と共生す
るバヌアツ人にはぜんぜん気にはなりません。被災の学校運営につい
て,政府からの支援なしに自分たちで復旧するには材料のコスト,堅
牢,安全な校舎にするにはどうするか,専門家たちの見積もり,校長
を務める教会の役員たちは秩序正しく,自分たちの実情報告,実現可
能性,支援者の規模について率直に語ります。お手洗いのため会場を
出入りする際,必ず議長席に一礼のためお辞儀をする律儀さはアジア
人と同様に礼節を重んじる習慣があります。軍隊をもたない国ですが,
強い国だと滞在日数が増すにつれて伝わってきます。とことん話し合
うのです。決して感情的にならずに,自分の主張を堂々と理路整然と
話す姿勢になじる野党はいません。異見であっても信頼し合っていま
す。トップが根回しして,「結論先にありき」には帰着しません。女
性牧師も貫禄があり,4日目の最後に祈りを務めます。
 この国だけではないでしょうけれど,約300年近い,宗主国英国や
フランス,アメリカ統治に対するアレルギーがあるようです。1954
年の第五福竜丸の被ばくにより,子どもたちが甲状腺ガンにさらされ,
海の海産物が放射能汚染により損なわれた不信感は根強く残っていま
す。初対面で必ず問われるのは,「……はどんな目的か」という単刀
直入な質問です。沈黙し,道理にかなった反応を省略しますと,次に
出会っても心を許していないという印象があります。ちゃんとした説
明を省いていると信頼関係は維持できません。贈り物だけではだめな
のです。ちなみに贈り物はたいせつです。貢ぎ物として酋長に手渡す
伝統があるからです。
 村落の酋長に謁見する際,案内する人を飛び越えて,直接,懐に飛
び込んで腹を割って話せばわかるじゃないかという発想は通じません。
さしずめ日本ならば,たくさんの書類などの手続きを通過して,政・
官・財・学,およびメディアの要人に会える役割が案内者に相当しま
す。首長にお目通りできるのも,直接,現地との問い合わせによって
根回しをしていても,案内する人がいないといきなり官邸に行っても,
日参して努力しても合わせてもらえません。段階として,道先案内人が
重要な役割を果たします。つまり直接,酋長の懐に飛び込んで,お話し
をするというのは失礼になります。神戸国際支縁機構の協賛広告の場合,
一流会社のトップに直接に面談し,即決で決まった場合があります。し
かし,バヌアツではそうはいきません。バンカラな斬り込みや根回し,
贈り物では信用してもらえません。
 バヌアツの最大の問題点は教育費が高額なことです。どんなに優秀で
あっても奨学金制度がなく,親に大きな負担がかかります。依存心が異
常なほど欠如していること,つまり寄生虫のような生き方ができないこ
とが子育ての苦悩の一因となっています。主だった産業がありませんか
ら,公務員以外はたいした収入がありません。景観が美しいので,観光
立国として成り立ちそうですが,土地,リゾート,民芸品などはオース
トラリア人,ニュージーランド人が押さえています。バヌアツ人は貪欲
さがないのです。経済面で賃金をもらわなくても生活ができるからです。
野にはバナナ,マンゴ,タロ芋,魚などがたくさん蘇生しており,だれ
がとって食べてもいさかいはおきません。食べるものに不足がないので
す。したがって,賃金がなくても生きていけるのです。勤勉に会社で働
くために,通勤電車にゆられる苦労,一日千円以下のお小遣いで昼食な
どを工面するサラリーマンの辛さとは無縁な社会です。
 教会の運営にしても,アメリカなど大国からの宣教師や財政的支援を
拒絶する強い意志があります。
 バヌアツにはストリート・チルドレンがいないことも驚きです。他国,
他者におもねることができない感情が幼い時から空気としてあります。
いったん家族のような関係になると子どもたちはせがんできますが,物
質的なものをねだる光景はありません。共同体が幼いいのちを守る姿勢
が貫かれています。子どもを守る責任感が強いことに励まされます。

 大統領との会見
 曺さんのご希望で,午前9時に,大統領官邸に訪問することになってい
ました。7時からの会合前に朝食を食べました。バヌアツの大統領はアン
グリカンチャーチの牧師であり,先代もやはり牧師です。不正がなく,
民衆の信頼が大きいので,選挙も無風です。大きな産業はありませんか
ら,癒着は少ないようですけれど,情実がぜんぜんないとは言えません。
なぜなら秘書長官も牧師であったりします。バヌアツに来て,はじめて
知りました。副官は牧師ではありませんが,ほとんどの行政長官はキリ
スト者です。 
 ボールドウィン・ジェイコブソン・ロンズデール大統領の部屋に案内
されると,全国紙をはじめ地元の各メディア関係者4人もいました。仙
台の防災会議に出席し,安倍首相と友好促進を話し合ったことが開口一
番の内容でした。兵庫県井戸敏三知事,神戸市久元喜造市長の親書を手
渡しできる特権に身がふるえる緊張をしていると申しあげます。自分は
政治がさっぱりわからない民間人のひとりであるとも加えました。サイ
クロンの被害にバヌアツの人たちが他国の支援を過度に期待しないで,
自分たちで逆境を乗り切ろうとしている勇気についても語りました。さ
らにバヌアツには他国のようにストリート・チルドレンがいないこと,
キリスト教会の会合の内容から独立心が旺盛な民族的特徴について敬意
を表しました。すると大統領は「バヌアツの人口の半分が子どもたちで
あり,将来の宝です。今回のサイクロンは神様のご意志でした。近年,
物質に執着し,高慢になっていることからの脱却に有益ですよ。」と語
ります。東日本大震災が発生した時,500万円を惜しみなく石巻市に義
援金として差し出す決定をした人物です。「仙台に2ヵ月前に行ってみて
日本はまた元の木阿弥に戻って,物質繁栄を追い求めている状況には残
念でした」と率直に語られました。機構が東北ボランティアを続けてい
る目的に「田・山・湾の復活」を願っており,田・山・湾は「稼ぎ」の
場ではなく,累々と先祖から受け継いできた「なりわい」の場を取り戻
す働きだと申し上げると,大統領の目もうるみ,真剣な話し合いになり,
こちらも涙腺がゆるくなります。次回,NGO国境なき災害支援曺弘利代
表や,橋本武美さんが来るのに合わせて適切な場所をぜひ提案させてほ
しいと言われました。小さな子どもたちの施設であっても,側近に「良
きに計らえ」という態度ではない誠実さにも打たれます。大統領は取材
している4社の若い記者たちにも,「あなたたちがこの国を担っていく
使命があり,どうような国にするのか,期待していますよ」と励ます姿
に,ビジネスライク,売名行為,無責任はこれっぽっちもないのがよく
伝わります。
 当初瞬間的なあいさつですむところ,半時間以上にわたる表敬訪問に
なりました。自分のような一民間人にさえ,会ってくださったのは親書
に「Yoshio Iwamuraに託す」と記していただいていた井戸知事のおか
げです。大統領の見識の深さ,度量の広さにバヌアツの将来の明るい展
望を感じました。

      20150429VanuatuDailyPost
  現地報道 「バヌアツ日刊ポスト」(2015年04月26日付)。

課題 感謝
 滞在中,困ったことは日本と連絡がとれないことでした。家内とはフ
ァミリー割引に加入しているので,日本からの携帯通話は無料でしたの
で,配偶者には様子を伝えることができていました。

 次に,電圧が220ボルトへの変換器がしばらくすると使えなくなる現
象です。
 三つ目は,公衆電話,一般電話がどこにもなく,携帯をもっている人
も少なく,緊急連絡ができないことでした。
 東北ボランティアに慣れていない人ならば,懐中電灯,筆記用具,寝
袋を忘れてはいけません。また物価が高いわけですから,外食をしたり
すると日本より生活費は高くつきます。清涼飲料水も80バツーします。
安いバナナを食べていれば栄養失調になることはありません。現地の人
と親しくなれば,タロ,芋などごちそうしてくれます。日本のお茶は喜
ばれることも知っておくと役立ちます。国際免許証があればレンタカー
を借りることができますが,車は日本とは逆の右側通行です。シートベ
ルト着用は運転手以外には厳しくありません。サイクロンのせいか,道
はいたるところでアスファルトはめくれ,でこぼこ路面からの振動で食
後すぐだとたいへんです。
 交通手段として,乗り合いバンもごまかしたりしないので重宝します。
どのドライバーや,隣に乗り合わせる乗客から「何の目的で来たか」を
必ず問われますので,バヌアツへ行く前に「子どもたちの施設を造るた
めの調査に来ました。バヌアツの人々はとても親切です」という英語は
備えておくと役立ちます。非常に気さくに,握手を求めてきます。知り
合った瞬間からお互いに相手の名前を用いて呼び合う会話は生の文化を
知る上に役立ちます。街や通り,車の窓からでも視線が合えばにこやか
に微笑み合うこともマナーです。
 子どもたちの明るい笑顔がサイクロンで被害を受けた傷とは対照的で
あり,どんな困難をも乗り越える力を予感させます。
 バヌアツ空港には,独りで乗り合いバンを見つけ,向かいました。バ
ヌアツ人はよくもてなし,歓迎しますが,一般に車で送迎する習慣はあ
りません。荷物が往路よりかなり減っています。ニュージーランド空港
では8時間の乗り換え待ちのため,待合室の4つの椅子の上に寝袋で休み
ました。現地時間朝4時からの飛行機チェックインに合わせて,多くの人
が前夜から仮眠していますが,寒く,寝袋は大助かりです。約1万6千キ
ロの旅路を終えて,伊丹空港に着くと,国内線出口まで本田寿久事務局
長が出迎えてくれ,荷物を運んでいただき,感謝でした。

 帰途,事務局長は6月にバヌアツに同行すると話し合っていたところ,
ネパール地震の被害の速報が携帯に入りました。即刻,対応する話し合
いを翌日にしようとなりました。
 留守にしてもいろいろな問い合わせに機転をきかせて対応してくれる
妻がいるからこそ,ボランティア道をまっとうできます。「金銭的にゆ
とりがない生活だからこそ,乏しい被災者の気持ちがわかるのね」と妻
の言葉は的を射ています。もし経済的に裕福ならば,ボランティアなど
あほらしくやっておられないでしょう。ライフラインのない地に緊急に
馳せ参じることができるのも普段ぜいたくな生活をせずに,同化できる
生き方だからです。東北ボランティアに参加し,そのことがきっかけで
親しくなった人たち,協力者たちが周囲にいることを喜んでいます。な
によりも愛する最大の理解者が待っている家があることを感謝したいと
思います。

  20150513バヌアツ       「中外日報」(2015年5月13日付)