「田・山・湾の復活」

林業ボランティア班

 養蚕(ようさん),竹伐採(ばっさい),間伐(かんばつ)伐採,薪(まき)作り,炭焼きなどを取り組んでいます。

竹伐採
  竹伐採 第22次

⑧養蚕 第14次養蚕

  季刊誌「支縁」No.5

 炎天下,険しい急斜面で下草刈りの手入れをする玉野光南高校サッカー部員たちサッカー部はどうしても県大会で二位の屈辱を8年味わってきましたが,11月10日,県選手権大会で名門作陽高を破り,優勝!全国へ!!

 東北ボランティアの厳しさ,チームワークの意識が役立ったと山陽新聞などで注目されています。

大川小学校苗木

 第28次(2013年8月1日~4日)に参加した玉野光南高等学校のサッカー部員三年生20名がJR朝霧駅前に集合。コンパクトに荷物をまとめています。山足悠太君が事前に部員たちと立派なカラー刷りパンフレット冊子を作って,持ち物を用意していました。途中のサービスエリアではご飯がおかわりできて3,4杯平らげたり,集合時間を厳守するきびきびした姿勢に励まされます。

 被災地に入ると,パノラマのように広がる南浜町,門脇町に参加者は唖然とします。

 体育会系のみんなも2年4ヵ月前の衝撃をフラッシュバックしているような面持ちです。自分たちはサッカーで協調精神があるけれど,天災に直面したら,一目散に我先に逃げるだろうか,それとも仲間を気づかうゆとりがあるだろうか,現実の厳しさをめいめいに想起させています。門脇小学校,魚町,長浜で,仲間との会話もとぎれます。

 バットの森

 林業班は,森林組合の山下俊一氏に案内変更で,大川小学校隣りのバットの森に向かいます。釜谷西宮山の約0.3ヘクタールです。神戸から持参した鎌などで取り組みます。木村貞一氏(75歳)の説明に従い,大川小学校児童生徒が在学中に植樹したアオダモ,コナラ,クヌギなど近くの下草を刈り取りです。傾斜が激しく,足場も悪く,10分もすると汗だらだらです。

 大川小学校は3・11の際,74名の生徒,10名の教師が犠牲になりました。現在もまだ遺体捜索をしています。親御さんにとってあまりにも悲劇が大きかった地域です。

 植栽した苗を管理するボランティアにも力が入ります。高校生たちは,作業を終えて,元気の湯でやっと入浴できる時も30分間のマラソン,宿舎でも逆立ち歩行など鍛錬に余念がありません。どこにそんな力が残っているのかとあきれかえるほどです。

 宿舎では,代表と指相撲をしたり,笑い声が絶えず,さわやかな真のスポーツマンたちでした。12月31日に宮城県と対戦するのも縁です。

 季刊誌「支縁」No.7 本田陽太郎(第16,23,36次)

 東日本大震災の復興として石巻の森林組合(鈴木健一組合長)は伐採(ばっさい)した木で子ども用椅子などの木工品などを女川町に寄贈してきた。日本は国土のうち3分の2が森林面積である。長年手をつけていない里山は資源の宝庫である。電気やガスの普及で炭焼きは見かけなくなりつつある。しかし,ストーブやボイラーで燃やす炭,薪まきは大いに役立つ。2013年3月,自然エネルギーのため機構代表より班長として指名され,石巻森林組合へ行くこととなった。同じ班には研究者,社会人,学生たちで構成されている。機構は養蚕(ようさん)や,竹伐採,間伐 (かんばつ)伐採はしてきたが,「炭焼き」ははじめてであった。

 ●脱臭炭の製品作り●

 石巻市真野字七の坪にあるウッドリサイクルセンターで,所長の大内伸之氏の指示に従い,ドラム缶に入っている粉々の炭を不織布の袋へ詰めた。それをビニールの袋に入れて脱臭炭として使える製品を作った。

炭焼きd

炭焼きe

 ●炭焼き●

炭焼きf

 2日目は,森林組合山下俊一氏の案内で石巻市沢田志し畑(しのはた)にある炭焼き小屋に向かった。窯(かま)は国道398号線から脇道に入り,徒歩で10分にある。周囲を山に囲まれ,自然の中にいることが気持いいのだが,杉に囲まれているため花粉症の仲間は辛そうだった。

 窯の管理者の阿部初吉(はつきち)さん(79歳)と木村貞一(ていいち)さん(77歳)と挨拶もほどほどに,お二人のご指導のもと,1週間ほど前に火をつけ,出来上がった炭を窯から地道に1本1本取り出し,隣の小屋に立てて並べていく。窯の入り口は大人が四つん這いになってやっと通れるほどの大きさであり,窯の中は立ち上がることもできないほどの低さだ。そのため作業のほとんどは中腰か膝を立てての体制となる。中は炭の粉が立ち込めてカメラで中を撮影してもフラッシュの光がほとんど差し込めず壁まで撮影できないほど,もうもうとした状態だった。持参した不織布のマスクでは2重にしてもほとんど役に立たず,咳き込むこともしばしばあった。窯の外で光にあたると,顔は炭で真っ黒で,爪の隙間も炭で真っ黒になっていることに気付き,みんな笑い合っていた。

炭焼きa

 慣れない体勢で腰も痛く,思った以上に重労働だと思ったが,阿部さんも木村さんも顔色ひとつ変えずに作業されていた。その上,炭の粉が体に良くて病気知らずだと笑いながら言う顔は印象的であった。

 出し終わったら,今度は次の炭を作るための木材(長さ約1m,太さが直径10~15㎝程度に切断されたもの)を窯の中へ入れて,1本1本立てて並べていく。木材の上部から窯の天井までの間には短い木材を載せて隙間を埋めていった。窯の中をすべて木材で埋め尽くし,窯の入り口に管を設置し空気穴を設けて上から土で盛り,火を付けてふたを閉めた。火を付けた後は外からすることはあまりないが,まったく手放しで放置できるわけでもないらしい。窯の中で木材が燃え尽きてしまうのではないかと考えてしまうが,新鮮な空気が入っていきにくい構造の窯なので,自然消火して,イメージとしては蒸し焼き状態のようで熱が下がってから窯出しするようだった。

 火を付けてから炭が出来上がるまでには数日かかるが,具体的にどれぐらいかかるのかは,窯の湿気や木材の乾燥具合により左右されるため,一概には言えないそうである。また,夏と冬とでは窯の湿気が異なるため,炭焼きをせずに休止したり,木材の乾燥具合を調節したりすることもあるそうだ。

 ●利用している木材と活用方法●

 炭や薪として加工するために使用している木材は,津波被害のあった住居などを高台に移転するために伐採したものも含まれていて,主にナラの木やクヌギの木だそうだ。この炭焼き場には2mの長さに切ったものが運ばれきて,炭焼き場でさらに1m長に切断し乾燥させるそうである束ねた薪は乾燥して,家庭用暖炉の燃料や一部のこだわりのお店で使用されるそうである。また,炭焼きで出来上がった炭は,十分な長さのものは炭として,短いもの,細かいものは袋詰めした消臭炭として使われるほか,バイオマス発電でも使用される可能性もあるそうだ。バイオマス発電とは,植物や動物の排泄物などの有機物(バイオマス)をエネルギー源として利用する発電方法である。石巻森林組合代表理事の鈴木健一さんに伺ったところによると,計画されてはいるが何年も継続するためには,狭い面積で急な勾配の山が多く大型重機で木材を伐採できないという地理的な問題,同じ量を同じ価格で納入できないといった安定供給に関連する問題,労働賃金の問題などの課題があり,計画を推進していくのも簡単ではないそうだ。しかし,東日本大震災後には原発問題も湧き起っていることや,資源の有効活用ということからも,是非実現されるといいなと素人ながらに思った。

 炭,薪がアウトドアのバーベキューや,ストーブの燃料に販売される。やがて燃えた後,灰が落葉などと共に田んぼに役立つ。僕らの森は生きていることを実感する。

林業ボランティア班長    上田和巳(第21次,36次,48次参加)

第二面第48次薪づくり

 2015年1月20日(火),代表から林業ボランティア班長として委ねられました。石巻森林組合の山下さんの指示で,志の畑に向かいます。私たち一行5人が来るのを木村貞一さん(78歳),佐川浩章さん(43歳)たちは待っておられました。
 山で何十年も生活の場として,植林,枝打ち,炭焼きなどをなさってきたベテランとお会いしますから緊張します。
 山の麓にあり,すでに伐採された何種類もの木が何本も横たわっていました。
長さは1㍍くらい,直径は20㎝ほどの材木があります。最初に,代表が木の種類について親しむように木村さんに説明をお願いしました。松,山桜,楢,栗などです。1)説明は受けるもののなかなか違いがわかりません。東北弁ですからなおさらです。真っ直ぐに伸びる「ホオノキ」はこたつ櫓や,下駄の歯に使われます。ホオノキは山里の周辺の低山によく生えています。葉は大きく,7枚ぐらいの葉が風車のように輪になって付いています。木村さんは70年前,子ども時代,よく風車をつくったと語ります。

 第二面ホオノキ風車イラスト ホオノキ風車

 「栗」は成長が早く,よく燃えるので薪木に向いています。柔らかく細工しやすく,乾燥すると固くなります。釘を使わずに木と木を組み合わせた家具・指物≪ルビ さしもの≫に用いました。線路の枕木に使われたりします。「オオバクロモジ」というクスノキ科の木はつまようじになります。燃すとよい香りが部屋全体にひろがるので,囲炉裏≪ルビ いろり≫で用いられたと説明されます。

 薪づくり
 まずは1㍍ほどの長さの木材を3分の1に切り分けます。チョークで3等分にしるしを入れ,チェーンソーでカットして行きます。チェーンソーの操作は講習会などで学んだ者しか使用できません。木村さんが切断した材木を今度は,薪割り機で30㎝ほどの薪サイズにします。斧でキャンプファイアの木を作る際,堅い木だとすぐに音を上げてしまいます。樫,楢,桑,栓≪ルビ せん≫,山桜などは堅くて斧なら2,3本切ると,手にまめができます。薪割り機は木の幹に直接,圧力をかけることで木の繊維に沿って割り分けていくものです。機械の上に木を置くだけでゆっくりとしたスピードで木が簡単に割れます。刃先は鋭くない機械ですから女性でも用いることができます。村上安世さんも手伝いました。原発事故から薪ストーブが見直されていますので,家庭でも備えるようになるかもしれません。
 薪は,輪状の針金で結束して束ねます。出来上がった束が後でくずれないようにまずは大きな薪で針金の輪に収めて束の形を予め作っておきます。知恵の輪のように大小の木を輪の中に巧みに詰めます。小さな薪をトンカチなどを使ってすきまに打ち込んで束がゆるまないように仕上げます。外から見ても大木のように見えるように樹皮を外側にすることによって,針金の食い込みを少なくする配慮など頭脳も使います。

 第二面木村貞一&佐川 指導する木村貞一氏(左側)

 

 薪割り機での裁断,針金輪の作成,薪の結束の3つの作業を分担します。班長として,全体の作業の進捗具合を見ながら,必要に応じて遅れている行程に臨機応変に入ることで作業全体が停滞することがないように心がけました。これは一般社会の作業の進行と同じです。マニュアルにかかわらず要所に応じて隙間を埋めて行く作業が必要ということでしょう。。
 作業中は時折,強い風が吹きますが,一生懸命に作業している間は結構体が温まってあまり寒さを感じませんでした。
 出来上がった束は100束以上はあったかもしれません。一箇所に集めて作業を終了しました。
 できあがった薪は近くの老人ホーム等の薪ストーブに使われると聞きました。自然の恵みを最後まで使い切ること。便利になった世の中では想像する機会すらなくなっていますが,昔からある人間の営みとして忘れてはいけないことだと思います。
 私は,京都でも自分の職場のボランティアとして森林活動に参加した際,同じような薪割り作業もやったことがありますが,ここまで集中してこれだけの量をこなしたのは初めてです。
 今,森林活動の中で問題になっていることのひとつに「ナラ枯れ」の被害があります。樹幹に虫が潜入して菌が増殖することで,木が枯死していくものです。京都・滋賀でもこの被害が問題になっているので,木村さんに尋ねてみました。「結局,人が森林に入る機会が少なくなって,枯れた木は薪のように有効活用することもないまま,長期間放ったかし。だから菌が繁殖するんでしょう。」とおっしゃいました。昔から営まれていた自然のサイクルが欠けてしまうことで,ツケが回ってくるということを感じました。  (続く)

1) https://www.youtube.com/watch?v=mwNAEPsdz6k