石巻市渡波地域農業復興組合 代表 阿部 勝氏のあいさつ                               

2011年11月21日

 

 神戸からわざわざご苦労様です。神戸の岩村様とどういうわけかお知り合いになって,このような進みになったわけだけども。私の今までの考え方っつうのとひとつ共鳴した部分があんだけども。我々はいつも経済追求・拡大路線できたわけなんだね。この農業が果たして生き残れるのかっつうような思いでずっときた。 

 私が農業を選んで,親との言葉の中で「おめえ頭悪いんだから汗流して働けよ」っつう言葉がずっと沁みついていんだっちゃ。そんでいろんな点で疑問を抱いてはきたのね。拡大路線つうのも,私もずっと追い求めると同時に自分を問いながらきてるわけです。拡大っつうのどこまで拡大して本当にいいのか。そしてそいつが生きる目的と経済との闘いになってまで経済路線を進んでいいのかなっつうのもあんのよね。

 でもこうやってやってきたけども,ほとんどの親の姿は「おまえは農業やめろ。いい会社さ入っていい就職しろよ」って,ほとんどの人たちがその方向なんだね。

 そんでここの農地潰れるっつうことは多分容易いと思うでがんす。というのは耕したくねえ人たちがほとんどなんだから。まず耕したくない。そして「売ってお金にしたい。後は勤め人だ」っつう人たちが。割り切ってんだね。だからそのような状況の中で20年後のムラ社会はどうなるかって,岩村先生からもちくちく,私も痛いところ突かれるような感じもすんだね。 村社会っつうことについて,そんで村社会はどうなるんだっつうことを言われっともう,人たちの頭にはこれからの村社会も何もないんだね。私は,今,村社会も何もなくなったかもしれないけども,山はあそこにさ,あるわけです。この山は何十年たってもまず古里を留めてるわけだ。しかし周りは故郷を留めることできねーくなったんだ。だいたい周辺見っと,私の庭には植え物も色々あります。果樹の実も生ってます。農村の面影を留める状況ちょっとあるわけだ。だんが,ちょっと行くともう住宅地だね。

 私は家族形態を何十年も続けることができっかなっつう疑問,心配があるわけ。家族の崩壊なんて,一時なんだね。今,崩壊してんのどんどんあっからね。家族のあり方がだめになってる。孫と住まねえ人だっていっぱいいるわけさ。それでいいことにしてんだね。して,てんでに住宅を建てて。食事もてんで。孫とたまたま会うけども毎日孫と生活を共にしねえ人たちがどんどん。こういう社会っつうのが本当の意味でいいか。

 して,お祖父さんのお話が孫さ全然伝わんねんだね。そしてお祖父さんっつう我々も,自分の更にお祖父さんの話も色々あんだけども。三陸津波のことも色々聞いてます。そして私のお祖父さんの更に親・ぴいちゃんだな。ぴいちゃんはわかんねんだけども,その話も自分は伝わってるわけ。だからそういうこと考えっと,昔の人たちの歩んできたこの道が孫さ伝わんねんだね。今の社会。昔のような,お祖父さんもぴいちゃんも一緒に食事する家庭が段々なくなって。そういうことも私は思いながらね。

 まあとにかくそういう家族は辛い。私は嫁もらうときから今の嫁さ言ったんだから。「もし別居して別の生活するっつったらこの家は間違いねく崩壊すっから。ただこいつはおれはいやだ。おら家さ来た場合はそれをあんたも守るように,そして一緒に,孫できたら孫と一緒に食事を食べる。してあんたに一生食べさせてもらうから。」嫁に一生ごはん食べさせてもらう。なんぼお金があったってできねんだ。お金とは関係ねえの。嫁作った食事が私が死ぬまで食べさせてもらうっつう。 

 孫は高校生と,中学生で津波でやられて,渡波中学校から今は稲井中学校で,一番下の孫は鹿妻小学校に行っているって。孫も同じ家で,一緒に食べて,話をしてクラスのがいいって。私はそういうような生き方を追い求めてるっていうかね。

 あくまで農業をしっつつ,ばらばらの家族ではなくって,そろっていててはじめて家なんださ。 

 そんでこういう水中生物っつうもんもあんまり能率を求めたために水中生物が棲めない農地にしてしまったことも私たちは十分にね,反省しないとね。岩村先生がそんなんではだめなんだよと,言われるだけんど,確かにそれも大事なんだなねと気付かされたわけさ。

 学校の前の水路。ほんの一部だけどもね。辺りコンクリートで。木で拵えた所があるんです。木でしがらみ組んでやってる所はやはり水中生物が棲む条件が作られんだね。そして水路が全部コンクリートにしてしまうと水中生物が棲みにくくなるっつうのがあるわけなんだね。

 渡波にもふゆみずたんぼでそうできるようになるかなって,農地になるといいだべさ。

ここら一帯も宅地にするという計画があるから,これからどうなるかわからないけんど,岩村先生の働きでなんとか農地でいられると,いいと期待しているだべさ。 

                           ICレコーダー記述 村上裕隆